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ぼくは君たちを憎まないことにした

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「ぼくは君たちを憎まないことにした  アントワーヌ・レリス著」
昨年フランスで起こったパリ同時多発テロで、妻を亡くしたジャーナリストが
事件が起こってから2週間の出来事が綴られている本です。

ある日突然に、愛する人をテロリストに奪われる。
妻は劇場に音楽を楽しみに出かけ、著者は1歳7か月の息子を寝かしつけているところだった。
妻の死を知り、まだ会うことも出来ず、幼子と一緒の日常が進んでいく。
珈琲ショップでは、事件の会話が絶えない。
これまでだったら、自分もその会話に混ざったりその会話に耳をそばだてていたのに
その会話に出てくる被害者が、自分の妻だという現実。

非難すべき相手がいること、怒りをぶつける相手がいることで
半開きになったドアからすり抜けるように、苦悩を少しでもかわすことが出来るかもしれない。
犯罪がおぞましいものであればあるほど、罪人は完全な罪人になり
憎しみはより正当なものになる。(中略)
憎しみは犯人の罪を重くすることに役立つかもしれない。
でも、人は涙を数えることはできないし、怒りの袖で涙をぬぐうこともできない。
相手を非難しない人々は、悲しみとだけまっすぐに向き合う。
僕は、自分がそういう人間だと思う。

そして著者は妻と再会する。眠るように横たわる妻と、ずっと一緒にいたい。
でも、それは出来ない。次から次にこなしていかないといけないことがある。
そんな中で、言葉が生まれる。

金曜日の夜、君たちはかけがえのない人の命を奪った
その人は僕の愛する妻であり、僕の息子の母親だった。
それでも君たちが僕の憎しみを手に入れることはないだろう。
君たちが誰なのか僕は知らないし、知ろうとも思わない。
君たちは魂をなくしてしまった。
君たちが無分別に人を殺すことまでして敬う神が
自分の姿に似せて人間を作ったのだとしたら、
妻の体の中の銃弾の一つ一つが神の心を傷つけるはずだ。

だから、僕は君たちに憎しみを贈ることはしない。
君たちはそれが目的かもしれないが、憎悪で怒りに応じることは
君たちと同じ無知に陥ることになるから。
君たちは僕が恐怖を抱き、他人を疑いの目で見、
安全のために自由を犠牲にすることを望んでいる。
でも、君たちの負けだ。
僕たちは今まで通りの暮らしを続ける。

妻を亡くして間もない著者がfecebookに投降したこの手紙が何万回と再生され
世界中を駆け巡った。反響はとても大きく、世界の各地から彼ら父子に
手紙や電話や、小切手までもが送られてくるようになった。

そんな現実の中で著者はこうもいう。
自分は自分の言葉についていけない。この言葉通りで在り続けられるかわからない。
まだ自分は、意気地なしでいられる権利があるだろうか?と。

妻を埋葬し、幼子と3人で家に帰ろうとするところで物語は一旦終わります。
この続きがいつかまた書かれるのか、それともこのままなのかは分かりません。
正直な言葉で飾らずに書かれた著者の「事実」は
人間ってすごいな、と思わずにはいられない何かを感じさせてくれます。

終戦の日に読んだ1冊、争いの絶えない昨今の世界情勢を憂いながら
「暴力ではなく、言葉を」と言い続けられる大人でありたいと
強く強く、願い、思いました。

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